「愛子天皇」という4文字がメディアをにぎわせるようになってしばらく経つ。この動きは、いわゆる「小室問題」をめぐって秋篠宮家への風当たりが強まっていることとの関係が指摘されてきた。その一方で、女系天皇に反対する勢力は、20代以下の「男系男子」のいる「4つの旧宮家」復帰シナリオに期待しているという。(週刊新潮2019年10月3日号掲載の記事などに加筆・修正しました。肩書や年齢などは当時のママです)。
実はここ20年ほど、世論調査を行うと、女性天皇への賛成はおおむね80%程度で高止まりしてきた。
「『男女同権』意識の浸透に加え、現在の皇族において、年若の男性は悠仁さまただ一人。その先に男性皇族が誕生する保証はありません。現行の『皇位継承者は男系男子に限る』という制度を維持する限り、皇室の存続は危うくなるのではないかという考え方が幅広く浸透してきたゆえのことと思われます」(皇室問題に詳しいジャーナリスト)
近代的な概念とは必ずしも相容れない皇室制度を「男女平等」という思想で切ることの是非はともかく、こうした世論の傾向はさらに強まりそうだと言うのは、さる宮内庁関係者だ。
https://youtu.be/blFWIpyvBGU
秋篠宮家への国民の風当たり
「秋篠宮家への国民の風当たりが依然として強いのです。いわゆる『小室問題』について、“公”より“私”を優先させるかのような眞子さんの振舞いと、それを後押しされる佳子さま。これに対して、父である秋篠宮殿下はなすすべがない、といった状況が続いてきました」
他方の新天皇家は、
「長年の懸案だった皇后陛下のご体調が回復基調にあることに加え、愛子さまも『成年デビュー』され、立派に成長された姿をお披露目されたばかりです」(同)
こうした両家の現状への国民のまなざしが、皇室制度を巡る議論に影響を与えかねないと見るのである。
一方、安定的な皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議は昨年12月に最終的な報告書をまとめた。皇族数を確保する方策として、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」が盛り込まれた。
社会部デスクによると、
「報告書に真新しい観点はなく、現在の皇室典範に定められている『皇統に属する男系男子が皇位を継承する』との部分には手をつけないというのも既定路線でした。表向き“愛子さまか悠仁さまかという風に、お世継ぎ候補で世論が二分されてはいけないから”という考えでいるわけですが、事実上、80%が賛成している『愛子天皇』の可能性を封じ込めた格好です」
安倍元首相の論文
とはいえ、繰り返しになるが、皇位の安定的継承は喫緊の課題。そこで旧皇族の復帰プランが意味をもってくるのだ。
1947年、GHQの意向もあって11宮家51人が皇籍を離脱した。すなわち伏見、閑院、久邇、山階、北白川、梨本、賀陽、東伏見、朝香、竹田、東久邇の各宮家である。
すでに断絶の憂き目に遭った家もあるが、2700年にわたり連綿と受け継がれてきた皇統の「Y染色体」を有する未婚男子は、複数の家庭に存在する、というのが旧皇族復帰プランを唱える側の共通認識である。安倍晋三元首相はかつて野党時代にはこんな論文を寄せていた。以下、『文藝春秋』2012年2月号より抜粋する。
〈敗戦という非常事態で皇籍を離脱せざるを得なかった旧宮家の中から、希望する方々の皇籍復帰を検討してみてはどうだろうか〉
〈三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい〉